没後110年を記念して十朋亭維新館で、7月9日(水)から「山口の井上馨」展が開かれています。
展示物の中には、元治元(1864)年9月25日に井上馨が袖解橋にて襲撃され瀕死の重傷を負い、俗論派政権によって実家に軟禁されていた時の心情を詠んだ「井上馨七絶書(元治甲子冬獄中作)」の漢詩があり、密留学先の英国から帰国し、藩に対して多くの献策を行ったが用いられず、今まさに風前の灯となった無念の心情がよく表われています。
また、明治29(1896)年4月に旧藩主毛利元徳の長男・元昭の結婚披露宴と五男・五郎のヨーロッパ留学からの帰国祝い、そして自身の還暦祝いを兼ね、「近代落語の祖」とも呼ばれた初代三遊亭圓朝を伴って故郷山口へ帰りました。本展覧会では、圓朝が末尾に寄せ書きをした井上馨から萬代利兵衛に宛てた年賀の手紙や、「はつ花や朝夕もとる山の冷」と詠んだ圓朝の俳句の短冊が展示されています。
この他にも、井上馨の小郡代官時代の文書や、山田顕義伯爵家の相続問題に井上馨が関わった文書など興味深い展示物があります。
この展覧会は、9月29日(月)まで開催されています。